「自分の単価を教えてほしい」と頼んだら、「それは会社の機密情報です」と言われた。あるいは、そもそも聞く雰囲気すら作られていない。客先常駐で働いていると、この壁に一度はぶつかるはずです。
少し立ち止まって考えてみてください。あなたが毎日現場に出て稼いでいる金額を、あなただけが知らない。これを「普通のこと」として受け入れているのは、本当に正しい状態でしょうか。
この記事を読めば、客先常駐エンジニアの単価が公開されない構造的な理由がわかります。さらに、自分の市場単価を調べる具体的な方法と、その数字を知った後に何をすべきかの判断軸が持てます。
「単価は会社の機密です」という説明に違和感を覚えていないか
「単価は社外秘です」「知ると不公平感が生まれるから」。この説明を聞いて、なんとなく引き下がってしまった経験はないでしょうか。
しかし考えてみてください。その「機密」によって得をしているのは、会社側だけです。客先との契約金額、つまり会社がエンジニアを現場に出して得ている売上は、本来エンジニア自身が知る権利のある情報です。雇用契約書には給与は書いてあっても、「あなたが生み出す売上」は一切書いていない。その非対称性が、単価非公開という慣行を支えています。
不動産の仲介手数料はレートが法律で定められていて買い手が知ることができます。でも客先常駐の「中間マージン」には、そういった規制が存在しません。だから「慣行」として隠し続けられているのです。
「単価は機密」という説明は、会社がマージン構造を可視化されると困るから成立している言い訳に過ぎない。
単価が公開されない本当の理由はマージン隠蔽にある
会社が単価を教えないのは、あなたが知ってしまうと「自分の給料とのギャップ」に気づくからです。
例えば、月単価80万円で現場に常駐しているエンジニアが、手取りで月23万円しかもらっていないとします。この場合、還元率はざっくり計算で約35〜40%ほどになります。還元率の相場は65〜75%程度とされているので、残りの差額が会社の取り分として消えていることになります。この数字を見せてしまえば、ほぼ確実に「搾取されている」と感じさせてしまう。だから見せない。それだけです。
「営業費、教育費、社会保険料の会社負担があるから仕方ない」という反論もありますが、これらを全て計上しても、業界標準の還元率70%前後は十分に実現できます。それ以下に抑えて利益を出しているなら、その差額がどこに消えているのかを問い直す必要があります。
単価を隠す会社の大多数は、還元率が低いことを知られると離職につながると自覚している。
自分の市場単価を知る方法はある
会社が教えてくれないなら、外部から調べる方法があります。
自分の単価を把握するための手段:
- 転職エージェントに登録して想定年収を確認してもらう:エージェントは現在の職種・スキル・経験年数から市場単価の目安を教えてくれます。応募しなくても使える情報です
- フリーランスエージェントの案件単価を眺める:同じ技術スタック・役割の案件がどの価格帯で出ているかを確認することで、間接的に自分の市場単価の相場が見えます
- Findy・LAPRASなどエンジニア向けスカウトサービスを使う:スキル評価をもとに「あなたへのオファー年収帯」を出してくれるサービスがあり、無料で使えます
これらを使えば、会社に一切交渉しなくても「自分が市場でどれくらいの価値として見られているか」の輪郭はつかめます。
自分の単価を知るために会社の許可は必要ない。外部の市場が既にその答えを持っている。
単価を知ってから動くか、動いてから知るか
「単価を知ってから転職を考えよう」と思っていると、永遠に動けない可能性があります。
知識を得てから行動するより、動く中で知識が手に入るのが転職活動の実態です。エージェントに登録して面談を受けるだけで、今の市場単価・自分のスキルの見られ方・どんな求人が現実的かが一気に見えてきます。評価制度の不透明さに悩んでいる人ほど、「動いてみたら思ったより情報が手に入った」という体験をしています。
「単価が低かったとしても、今の会社で働き続けるのが合理的かもしれない」という結論もあり得ます。重要なのは、数字を知らないまま漠然と働き続けるのではなく、知った上で選択することです。
「知ってから動く」ではなく「動いた結果として知れる」が、転職活動の情報収集の正しい順番。
まとめ:単価の不透明さは「会社の都合」に集約される
客先常駐の単価が公開されない問題は、以下の2点に集約されます。
- 単価を隠すのは会社の利益保護のためであり、エンジニア側に「知る権利がない」わけではない
- 自分の市場単価は外部サービスや転職エージェントを使えば、会社の許可なく把握できる
「単価が教えてもらえない」と感じたまま働き続けるのか、外から数字を取りにいくのかはあなた次第です。どのエージェントが自分の状況に合っているかは以下の記事で整理しています。
NEXT自分の市場単価を確認できる転職エージェントを見る共有フォルダに「自分の金額」があった日
知らなかっただけで、数字は最初からそこにあった。 整理の依頼で触った共有フォルダの奥に、見覚えのあるアルファベットが書かれた請求書フォルダがあった。恐る恐る開いたら、自分の名前の横に月82万という数字。自分の手取りは22万。その差の60万が毎月どこかへ消えていたことを、4年目にして初めて知った。指先から体温が引いていくのがわかった。
転機はその数字を見た翌日にエージェントへ問い合わせたこと。「今のスキルなら単価はその水準が相場です」と言われて、搾取されているのが「不運」でも「実力不足」でもなかったとわかった。
知れば、選べる。 市場の数字を先に確認しに行くだけで、「このまま働く」か「動く」かの判断が全然違うものになると思う。