SESの還元率60%は低い?計算式と比較基準
SESの還元率60%が低いのかを単価・給与原資・会社負担から整理し、確認すべき計算式と転職比較の基準を解説します。
「自分の還元率は60%らしい。これって低いのか」。そう感じたとき、最初にやるべきなのは怒ることではなく、計算式を確認することです。
還元率は会社によって定義が違います。給与だけを指すのか、社会保険料の会社負担や交通費、待機時の給与まで含むのかで、同じ60%でも意味が変わります。
SESの還元率60%が低いのかを、単価・給与原資・会社負担の見方から整理できます。会社に確認すべき計算式と、転職比較で見るべき基準がわかります。
SESの還元率60%は「定義」を見ないと判断できない
還元率は、一般に「エンジニアの契約単価のうち、どれだけ本人に還元されるか」を示す言葉として使われます。ただし、法令や公的統計で統一された業界標準の定義があるわけではありません。
たとえば月単価70万円で還元率60%なら、単純計算では月42万円が給与原資です。年換算では504万円になります。ここに社会保険料の会社負担を含む会社もあれば、含まない会社もあります。つまり、還元率の数字だけで「高い・低い」を判断すると危険です。
まず確認すべき計算式 は次の通りです。
還元率 = 本人に還元される金額 ÷ 契約単価
この「本人に還元される金額」に何が入るのかを聞いてください。基本給、賞与、各種手当、会社負担分、待機保障を混ぜて説明される場合は、実際の手取りや年収と分けて見る必要があります。
還元率60%が低いかどうかは、数字そのものより計算式と含まれる費用で判断します。
単価を知らないままでは還元率を計算できない
還元率を確認するには、自分の契約単価を知る必要があります。単価が分からなければ、給与が妥当かどうかも、会社の取り分が大きいかどうかも判断できません。
単価を聞いたときに「営業情報だから教えられない」「会社の方針で非公開」と言われる場合、還元率の検証はできません。非公開自体が直ちに違法という話ではありませんが、社員が年収改善を考えるうえでは大きな不利です。
客先常駐の単価が教えてもらえない理由にもある通り、単価が見えない会社では、昇給・賞与・評価の説明も曖昧になりがちです。
単価が分からない会社では、還元率も年収の妥当性も自分で検証できません。
還元率60%と80%では年収差が大きくなる
還元率の違いは、月単位では小さく見えても年単位では大きくなります。月単価70万円で考えると、60%なら給与原資は月42万円、80%なら月56万円です。
月単価70万円の場合、還元率ごとの給与原資は次のように変わります。
- 還元率60%:月の給与原資は42万円、年換算では504万円
- 還元率70%:月の給与原資は49万円、年換算では588万円
- 還元率80%:月の給与原資は56万円、年換算では672万円
この例では、60%と80%で年168万円の差があります。もちろん、実際の年収は賞与、待機保障、福利厚生、会社負担分の扱いで変わります。それでも、単価と還元率が年収に直結しやすいことは分かります。
厚生労働省の賃金統計で外部の賃金水準を見ながら、自分の単価と給与原資を比べると、現職の条件が低いのか、妥当なのかを冷静に判断しやすくなります。
このとき、手取りだけで比べないことも大切です。会社負担分や福利厚生を含めた説明と、実際に自分の年収として受け取る金額を分けて見れば、数字の見せ方にごまかされにくくなります。説明資料がない会社ほど、質問への回答で差が出ます。
還元率の差は、毎月の給与だけでなく数年単位の資産形成にも影響します。
還元率だけで会社を選ぶと失敗する
還元率が高い会社は魅力的ですが、数字だけで選ぶのは危険です。還元率が高い代わりに、待機時の給与保障が薄い、教育や営業支援が弱い、案件選択の責任が本人に重い会社もあります。
比較するときは、次の項目をセットで確認してください。
- 単価公開の有無
- 還元率の計算式
- 待機時の給与保障
- 賞与・手当・交通費の扱い
- 案件選択の自由度
- 評価制度と単価交渉の頻度
還元率60%でも、教育・保障・営業力が厚く、年収やキャリアが伸びているなら一概に悪いとは言えません。逆に、還元率80%を掲げていても、実質手取りや案件の質が悪ければ合わないことがあります。
還元率は重要ですが、単価公開・保障・案件の質まで見て初めて比較できます。
まとめ:還元率60%の問題は「説明できる数字か」に集約される
SESの還元率60%を見たときは、感情的に低いと決めつける前に、計算式と年収への影響を確認しましょう。
- 還元率の定義と単価が分からなければ、給与の妥当性は判断できない
- 単価と還元率の差は、年収・賞与・昇給に大きく影響する
- 高還元だけでなく、保障・案件・評価制度も比較する
自分の還元率が妥当か分からないなら、単価公開や評価制度が明確な会社と比べることから始めてください。
NEXT還元率や単価を比較できる転職先を探すSources
参考・確認した情報
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
賃金水準を外部比較するための公的統計
- 公正取引委員会「下請法」
取引構造や委託取引を理解するための公式情報
FAQ
よくある質問
SESの還元率60%は低いのか
低いかどうかは、還元率の定義と何が含まれているかで変わります。給与だけで60%なのか、社会保険料の会社負担や交通費、待機時の給与まで含むのかを確認してください。説明が曖昧なら、比較対象として弱い会社です。
SESで還元率を高くするために自分でできることはあるか
単価を把握し、担当工程や成果を整理して単価交渉の材料を作ることはできます。ただし会社の還元設計が固定されている場合、個人交渉だけでは限界があります。
高還元率のSES会社に転職すべき判断基準は何か
還元率の数字だけでなく、計算式、単価公開、待機時の給与、案件選択の自由度、評価制度を確認してください。還元率が高く見えても、保障や教育が薄い場合は合わないことがあります。
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監修者
IT未経験からエンジニアに転向し、SES(客先常駐)で長年エンジニアとして活動。その後フリーランスに転向し、現在も継続して稼いでいる。未経験からのIT就職・SESからのキャリアシフト・フリーランス転向…
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